ご自宅で利用いただくインターネット接続サービスにおいて、IPv4で通信する従来の接続方式(PPPoE方式)は、IPv6で通信する新しい接続方式(IPoE方式)と比較して、構成上ボトルネックが発生しやすく、体感速度が低下するケースがあります。
また一方で、IPv4アドレスは在庫がすでに枯渇しており、IPv6への移行が喫緊の課題となっています。
そのため、BIGLOBEではIPv6を利用し、通信品質の良いIPoE方式への移行を推進しています。ただし、インターネット上のコンテンツの多くがまだIPv4のみで提供されているところがあるため、当面の間はIPv4での通信も提供する必要があります。したがって、BIGLOBEではIPoE方式においてIPv4通信を実現するMAP-E方式を導入し、IPv4とIPv6の両方での通信を可能とするデュアルスタックでのインターネット接続サービスを提供しています。
しかし、MAP-E方式に対応したブロードバンドルータが必要となるため、IPv6移行を妨げる要因となっています。
そこで、BIGLOBEは世界で初めて固定ブロードバンド回線にNAT64/DNS64方式を導入しました（※1）。
（※1）（株）MM総研調べ
通常のDNSサーバはIPv4アドレスしか持たないドメインに問い合わせがあった場合に、IPv4アドレスのみを回答します。
一方、DNS64サーバはIPv4アドレスしか持たないドメインに問い合わせがあった場合に、IPv4アドレスと特殊なIPv6アドレスを回答します。
NAT64は特殊なIPv6アドレスをIPv4アドレスに変換して、IPv6アドレスのみを持つ端末から、IPv4アドレスのみを持つサイトへアクセスさせます。
＊1 NGN（Next Generation Network／次世代ネットワーク）とは、電話網をIPをベースに作り変え、電話の他にインターネットアクセスやテレビ放送などにも利用できるようにしたネットワークのことを言います。
NAT64/DNS64方式を導入することで、お客さまのご自宅に専用のブロードバンドルータを設置する必要なく、IPoE方式でのIPv4通信が実現され、IPv6移行を促進することが可能となります。ただし、NAT64/DNS64方式ではお客さまがご利用になるアプリケーションによっては一部動作しない場合があります。この互換性の問題を解決するため、BIGLOBEでは以下の取り組みを行いました。
・お客さまがよく利用するアプリケーションを分析し、NAT64/DNS64方式の適用可否を判定し、独自のデータベースを作成しました。
・通信で利用されるドメインを元にアプリケーションを識別し、前述のデータベースに基づいてNAT64/DNS64方式の適用可否を判定し、NAT64/DNS64システムへの振り分けを行う仕組みを独自に開発しました。この仕組みは特許取得済みです。（※2）
（※2）特許6974297
以上のようにして、BIGLOBEは固定ブロードバンド回線において世界初となるNAT64/DNS64方式の商用化に成功しました。NAT64/DNS64方式の導入により、多くのお客さまが専用のブロードバンドルータを購入する必要なく、快適なインターネット接続を利用可能になりました。
また、BIGLOBEはインターネットの健全な発展を目指し、今後もインターネットの関係団体等と連携しながらIPv6移行を推進してまいります。BIGLOBEは今後も積極的に先進技術に取り組み、より良いサービスを提供してまいります。