わたしの歴史と、インターネット|楽曲、海外DJとの出会い。DJ RINOKAがインターネットと広げた世界

2025.5.7

いまや誰もが当たり前に利用しているインターネット。だが、そんなインターネットの存在がもしかしたらその人の歴史や社会に、大きく関わっている可能性があるかもしれない…。この連載では、さまざまな方面で活躍する方のこれまでの歴史についてインタビューしながら「インターネット」との関わりについて紐解く。いま活躍するあの人は、いったいどんな軌跡を、インターネットとともに歩んできたのだろう?

今回はDJで2つのギネス記録を持つ、現在小学3年生(8歳)のDJ RINOKAさんに、DJとして、いち小学生として、等身大のインターネットの使い方を聞いてみた。

RINOKAさんのSNSフォロワーは、2025年4月現在、TikTok・Instagramで各32万人。SNSの総再生回数は2億回を超え、日本国内にとどまらず、世界各国のファンがインターネットを介してその活躍を応援する。2025年3月には読売巨人軍のスタジアムDJにも就任し、その活動は広がるばかり。春休み期間中で元気いっぱいのRINOKAさんと、その活動を支えるお母さんに、RINOKAさんとインターネット、そしてDJ活動について教えてもらった。

インターネットで世界中の曲に出会う

ーーー 今日はよろしくお願いします!RINOKAさんはいま春休みですよね(取材日は4月頭)。

RINOKA:うん、ドラえもんの映画を見たよ!あれ、もう泣きそうだったよ〜。

ーーー 楽しそう!今日はRINOKAさんとインターネットについて、お話を聞かせてください。最初にインターネットを使ったときのこと、覚えてますか?

RINOKA:4歳のときにYouTubeでいろんな音楽を聴いたり、DJを観てたのをおぼえてる。そのときはまだ文字が打てなかったから、全部音声で喋って検索してたよ。

RINOKAママ:生まれたときからテレビでYouTubeを観られる環境だったので、自然に使えるようになったんだと思います。大人の見よう見まねで音声検索を始めたのには驚きました。

DJを始めるきっかけになったのも、4歳のときに海外の女性DJを見て「かっこいい!」と思ったのがきっかけ。本人はそれも覚えてるみたいです。

RINOKA:そう、なんか「これやってみたい!」って。生まれる前からパパが家でずっと音楽を流してたから、ママのおなかの中でも音楽を聴いていたかも。

ーーー その後サンタさんにDJ機材をプレゼントしてもらって、DJを始めたんですよね。

RINOKAママ:最初はパパとYouTubeを見ながら練習していたんですが、いまはパイオニアのDJスクールに通っています。

元々、パパはプログラミング専攻。小学校で情報科目が必須になるにあたって、どんなふうに教育していくと良いか考えていたときに、RINOKAがDJに興味を持ち始めたんです。DJってデジタルで波形で、曲と曲をつなぐポイントを探るのもプログラミングにちょっと似ています。英語も使うし、数学的な観点もあるし、親としてはただの趣味ではなくて将来にも役に立ちそうだな、と。

ーーー いまも、音楽を聴くためにインターネットを使っているんですか?

RINOKA:うん、DJをやるのに曲を探さなきゃいけなくて、パソコンやiPadを使って、Beatport(※1)やApple Musicから探してる。いいと思ったものをどんどんカートに入れて、そこからさらに絞っていく感じ。

RINOKAママ:最後はパパと相談して決めるんだよね。

RINOKA:私はiPadで、パパとママは携帯とパソコンを使って、誰が一番いい曲を見つけられるか競争することもあるよ。

ーーー インターネットは、RINOKAさんのDJ活動に欠かせないツールなんですね。

RINOKAママ:昔は曲を探すとなると、レコード屋さん行って1枚1枚見て選ぶしかなかったですよね。事前に全部試聴することも難しいから、ジャケ買いになることもありました。それが、いまはインターネットで、数分、数時間で何百、何千の曲が聴けます。これがDJ RINOKAの基本スタイルになっているので、インターネットがなかったら活動自体が難しかったんじゃないかなと思います。

※1 用語「Beatport」:英国LiveStyle社が運営する、有料音楽配信サービス。ダンスミュージックやクラブミュージックを中心に、30 以上のジャンル・1,200万以上のトラックが収録されている。

みんながノリノリになってくれると嬉しい!

ーーー DJは、どんなところが面白いですか?

RINOKA:自由に音を変えたり繋いだりして、こうしたらもっとうまく聴こえるかな?とか工夫できるのが面白いかな!

ーーー ライブは1時間以上続けてプレイすることもありますよね。集中力が切れるとき、ないですか?

RINOKA:なんかもう限界…ってときは、ちょっとボケっとしちゃう。この間は、パパに「途中で顔疲れてたよ」って言われちゃった(笑)。

RINOKAママ:でも、みんな踊ってノリノリになってくれると嬉しいよね。

RINOKA:うん、この間は観客席の最前列の柵ギリギリのところで、体を乗り出して踊ってる人がいて、すごく嬉しかった。あ、でもね、携帯見てる人もいた。

RINOKAママ:結構冷静に、お客さんの様子を見てプレイしているみたいです(笑)。

RINOKA:だからたまにね、お客さんに夢中で、ちょっと失敗しちゃう(笑)。「あ、繋ぐポイントから過ぎちゃった!」みたいな。

ーーー イベントごとに、セットリストは毎回変えるんですか?

RINOKAママ:イベントやフェスによって雰囲気も違ったり、出演時間も決められているので、それに合うように毎回変えてます。

RINOKA:まずはかけたい曲をどんどん入れて、次に曲の順番やつなぎ方を決めて「こんなセットリストでどう?」ってパパに相談するの。「この曲ちょっと盛り下がっちゃうんじゃない?」って言われたら、その曲だけ抜いたり、繋ぐポイントを変えたり。短くなっちゃったら、Beatportでもう1回曲を探して入れることもある。

RINOKAママ:構成はまだ1人だと不十分なところがあるので、パパと一緒に何十回もセットリストを本番まで作り直してるよね。

ーーー RINOKAさんのイチオシのセットリストや技もありますか?

RINOKA:ちょっと前に、自分で考えたループからのバックスピンの技をやったときは、TikTokで480万回再生されたの。フォロワーもその投稿だけで2万人くらい増えたよ!

@dj_rinoka

次のスポーツイベントの出演に向けて、色々なミックスを考えて練習をしてるよー😊✨ “I’m thinking about and practicing various mixes for my next appearance at a sporting event😊✨” ▼MUSIC @skytechmusic @vionkonger @arminvanbuuren @wandwmusic #djrinoka #tokyoneotechnodj #djmix #djing #djlife

♬ Rhythm Of The Night – R3HAB Edit – Skytech & Vion Konger

東京ドーム8個分のフォロワー、想像できる?

ーーー SNSは、基本的に親御さんで運営されているんですよね。

RINOKAママ:はい、夫婦で役割を分担してSNSの更新をしています。自宅では主に練習風景を撮影し、ライブのときとはまた違う表情、無邪気に楽しくプレイしている様子をアップしています。ライブの動画では、会場の雰囲気やお客さんの反応が伝わりやすい画角やシーンを意識して、撮影や編集をすることが多いです。

ーーー RINOKAさんには、TikTokとInstagramそれぞれ32万人のフォロワーがいます。この人数、自分で実感できますか?

RINOKA:ジャイアンツのところ(東京ドーム)は4万人でしょ?この間そこでDJをやったんだけど、そのときもすごい数だったのに、あれの8倍…?あれ、4×8=32だよね?

RINOKAママ:うん、かけ算できたね(笑)。

RINOKA:あの8倍の人がRINOKAを知ってると思うと…すごいなって。いつか、RINOKAがメインのステージで、1万人の前でプレイができたらいいな。

ーーー SNSのコメントやいいねの数は、RINOKAさんがチェックすることも?

RINOKA:たまにママの携帯からコメントを見るよ。「知ってる人がコメントしてくれてる!」とか「毎回来てくれるあの人だ!」とか。あとはパパから「お互いにフォローしているDJさんが、いいねしてくれたよ。いいねする?」って携帯を見せてくるから、ポチっといいねを押すこともある。

ーーー いいねの判断はRINOKAさんがしてるんですね!

RINOKAママ:嬉しいコメントがあったときは彼女に共有しています。海外の有名なアーティストや著名人からもいいねやコメントをいただくので、どうやって返信するかを、RINOKAの意見や気持ちを反映させて対応しています。

RINOKA:それで、RINOKAが話したことを日本語や英語でコメントを打ってくれるんだよね。

RINOKAママ:あとはフォロワーが増えたとか、「32万人になったよ」とかっていうのも伝えます。

RINOKA :そうだ、この前32万人になったのに、全然教えてくれなかったじゃん。ちゃんと教えてよ!

インタビューには、1歳から一緒にいる犬のぬいぐるみ・コロちゃんも同席

ーーー (笑)。小学生がSNSを使うにあたって、いろいろ気をつけるポイントもあるんじゃないかと思います。

RINOKAママ:そうですね。いいねをするだけでも、SNSでは多くの人が見ています。「DJ RINOKAがあの人にいいねした」というのは残るから、気軽にいいねをしない方がいいよというのは、常に本人にも伝えています。RINOKAは慎重に考えるタイプで、必ず「いいねしていい?」と聞かれるので、一緒に相談して決めています。

ーーー 今後RINOKAさんが大きくなってSNSを扱ううえでも、重要な視点ですよね。反対にポジティブ面として、SNSを介して繋がりが生まれた、お友達ができた、などもあるんでしょうか?

RINOKAママ:海外のキッズDJとも繋がりができたのですが、それはSNSがあったからこそだと思います。あとは日本でヨーヨーをやっているアーティストの方がSNSを見てくれていたみたいで、空港で話しかけてくれたこともあったかな。

RINOKA:フォロワー1,000人の時から見てたよ!って言われたよね。その後から、いつもライブに来てヨーヨーを教えてくれるの。だからいろんなことをやれるようになったよ。

あとは、村上隆さん、本田圭佑さん、中条あやみさんとか、すごい有名な人たちもSNSでRINOKAをみつけて、イベントに呼んでもらったり、雑誌に一緒に出られたりしたのが嬉しかったな。

RINOKAママ:そうだね。DJ以外の著名人の方から反応があったときは「この人はこういうことですごい人なんだよー!」と、よく説明することがあります。

RINOKA:最近も、海外の有名なDJやイベントの人からもDMが届いていたよね!

最近の検索は「折り紙 簡単 誰でもできる」

ーーー DJ活動や音楽以外では、どんなときにインターネットを使ってますか?

RINOKA:YouTubeで、「おーちゃんねる」っていうのがあって、それが好き。本物の昆虫とか魚を飼って、観察してる。この間、蜂の実験の動画を見たよ。

RINOKAママ:飼育しながら実験したり、観察したり…虫が得意じゃない人だと、わあ、と思うものもあるんですけど、それをずーっと真剣に見てるんですよね…(笑)。

RINOKA:だって面白いんだもん。実験も面白いし、「こうしたらどうなるんだろう?」とか「なんでだろう?」がいっぱいあって面白い。動物も好きだし、昆虫も好き。あと魚も!

ーーー 他にも好きなYouTubeはありますか?

RINOKA:折り紙とマジックを見てるよ。折り紙は、動画を見て自分でも作るけど、分かんなかったらママに教えてもらう。「折り紙 簡単 誰でも作れる」とかで検索すると、いっぱい出てくるよ。

ーーー 検索ワードの選定もバッチリですね(笑)。

RINOKA:でもね、折り紙とマジックをよく検索してるから、「折り紙のマジック」とかが出てくるの。「折り紙じゃないじゃん!」みたいな。あと、前によく見てたものもいっぱい出てくるから「もうこれは飽きたよ!」って思う。

ーーー 折り紙は学校でやるんですか?みんなYouTubeをおうちで見てからくるのかな?

RINOKA:20分休みにみんなやってるよ。みんな自由にやってることが多いかな。

ーーー お友達と好きなYouTubeの話をすることもありますか?

RINOKA:あまりしないかな。でもたまに、私のYouTubeを見た学校の人に「DJ RINOKAだー!」って言われることはある(笑)。

ーーー まだスマホを持つ世代じゃないから、お友達とSNSでやりとりをすることもないですよね。

RINOKA:ママの携帯で、友達とLINEすることはあるよ。

RINOKAママ:まだスマホは持たせていませんが、私が友達とLINEしているのはちょっと羨ましいみたいで。私がいる前で、お互いママのアカウントを借りて、お友達とやりとりするのを最近始めてみました。スタンプを押すとか、楽しいみたいです。

RINOKA:そうそう。「おやすみ!」「おはよう!」とかスタンプを送るよ。あとね、「明日映画館楽しみだね」とか。

ーーー おうちに帰ってからも、リアルタイムでお友達とやり取りできるのは楽しそう!学校の授業でもインターネットは使いますか?

RINOKA:情報の授業で、プログラミングとかやってる。学校のiPadで自分で作るよ。担任の先生とは別で、情報のための先生がいるの。

RINOKAさんがプログラミングで作った動物たちのお話について、教えてくれました。
「もう一つ、登場人物を増やせるけど何がいいかな?」と言ってくれたので、犬でお願いしました

RINOKAママ:iPadは1年生から支給されるんです。プログラミングも、ゲーム感覚のものから始めている感じですね。

RINOKA:あとは、国語とか算数の授業中にもiPadを使うよ。「ここはこう思った」とか意見を書いて送ると、教室にある大きなテレビに映るの。「自分はこういう意見で、こうしたからこの答えになった」とみんなで出すと、それぞれ意見が違うね、って分かる。

将来は最年長DJ記録にチャレンジ?!

ーーー 海外でのライブや巨人軍の公式DJ、ブランドのイメージモデルのお仕事など、RINOKAさんにはいろんなオファーがありますよね。

RINOKA:「あ、これやってみたい!」とか「ここ(ライブ)決まればいいな」みたいな、出てみたいものはいっぱいある!

RINOKAママ:DJとしてイベントに呼ばれる以外にも、キッズモデルとして呼ばれることもありますが、撮影は基本的に好きみたいです。

RINOKA:ついね、カメラがくるとしゃべってるのにポーズとっちゃう。

取材中も、カメラを向けるとすぐポーズを取ってくれるRINOKAさん

ーーー 今年やってみたいと思っていることはありますか?

RINOKA:曲をいっぱい作ってみたい。かっこいい曲!いまもパソコンでちょっと作ってるよ。

ーーー RINOKAさんのオリジナル曲、楽しみです!将来はどんな人になりたいですか?

RINOKA:やっぱりDJかな、おばあちゃんまで続けたい。おばあちゃんになっても、元気で笑ってるDJがいいな。

でもさ、100歳まで生きられるかな?120歳まで生きたいな…そしたら、よろよろしてるDJかもしれないけど、それもかっこいいかもしれない!

<今回のインターネットポイント>

インターネットの発展は、DJの世界にも大きな変化をもたらしました。かつてDJは、限られた機材と現場経験を持つ一部の人だけが担う専門職でした。しかしアナログレコードとターンテーブルに始まり、CDJやデジタル機材の登場を経て、インターネットの普及でDJの在り方に革命が起きました。いまでは音楽配信サービスから手軽に楽曲を入手でき、選曲の幅も格段に広がっています。

また、YouTubeやオンラインスクールは、初心者が独学でスキルを習得できる環境を整え、SoundCloudやTwitchなどのプラットフォームやSNSは、自宅から世界へ発信する舞台を提供しました。これにより、地理的・経済的な壁が取り払われ、多くの人がDJという表現にアクセスできる時代が到来。技術やトレンドの修得もスピードアップし、DJはより自由で創造的な表現ができるグローバルな発信者へと進化を遂げています。

また、学校の授業でもiPadなどのデバイス活用が当たり前になるとともに、2020年からは小学校でプログラミング教育が必修化されました。それに伴いインターネットの安全な使い方や情報の正確な見極め方を学ぶなど、デジタル社会での適切な振る舞いを身につけ、未来の技術に対応できる力を育んでいます。

 

DJ RINOKA
現在小学3年生。2022年12月に初めてDJ機材に触れ、その後23年5月に開催された “Vintage & Creators Market” でDJデビュー。同年7月には、中目黒Solfaで自身初の自主企画イベント “CLUB PARTY” を開催し、「最年少クラブDJ(女性)」としてギネス世界記録に認定された。
24年1月には台北「Neon Oasis Fest.24」に出演、「音楽フェスティバルに出演した最年少DJ(女性)」として、2つ目のギネス記録を獲得、同年3月には初の香港開催となった「ComplexCon HONG KONG」にも出演を果たす。
国内だけでなく、海外のファッション誌でも幾度も取り上げられ、スポーツブランドのモデル起用やCM出演などファッション分野でも注目を集める。
Instagram:https://www.instagram.com/dj_rinoka/
TikTok:https://www.tiktok.com/@dj_rinoka

 

 

取材・文:大沼芙実子
編集:篠ゆりえ
写真:服部芽生